営業プロセスを分業した方が良い理由とは?

日本の法人営業の多くは、アポイントの獲得や顧客への訪問、契約後のフォローアップなど全ての役割を一人の営業パーソンが担っているのが現状です。このような営業プロセスは、各営業パーソンへの負担が非常に大きく、業務効率も良いものとは言えません。
情報化社会の影響で営業の業務も複雑化してきている今、営業プロセスの分業が必要とされています。

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営業プロセスの分業化とは

営業プロセスの分業化とは、営業パーソンが一人で行っていた一連の業務を複数の部門で役割分担する考え方です。各部門の担当領域が狭く深くなることで、営業全体の業務効率化や生産性の向上などが期待できます。
一般的な分業体制は以下の通りです。

・新規開拓(リード獲得)
・ナーチャリング(顧客の育成)
・アポイント獲得
・訪問や見積もりなどの商談対応
・契約成立後のフォローアップ

一気通貫型の営業プロセスによって起こるデメリット

分業化のメリットを紹介する前に、今もなお多くの企業が行っている一気通貫型営業の特徴やデメリットについて確認をしていきます。
前述の通り、従来の営業手法では新規開拓からリカーリングまで一人の営業パーソンが担当します。そのため、業務負担以外にも属人化や、幅広い業務領域をインプットするための教育コストといった問題もあります。

 

①業務負担の増加

一気通貫型の営業プロセスを紐解いて見ていくと、主に以下の業務を担当していることがわかります。

・リード獲得(新規開拓)
・アポイント獲得
・訪問や見積もりなどの商談対応
・契約成立後のフォローアップ

一気通貫型の営業プロセスの場合、ファーストコンタクトから商談対応まで顧客と密にコミュニケーションを取るため、親しやすくなるという利点があります。
しかし、担当する顧客が増えれば増えるほど、営業パーソンの負担は各段に増えてしまい、業務の優先順位の難易度も高くなってしまう点は大きなデメリットと言えます。
多くの企業は、営業が創出する売上に目標を設定しています。そのため、月や半期ごとの目標が未達になりかねない状況になれば、とにかく商談対応に注力するため、顧客対応や新規開拓が疎かになってしまいがちです。
とはいえ、新規開拓などに時間を割くようになれば、商談対応に割く時間が少なくなっていき、目標売上の未達や受注率の低下につながってしまいます。

このように、それぞれの営業パーソンのキャパシティを超えてしまい結果的にどの目標も達成できなくなってしまいます。たとえ優秀な担当者がいたとしても、担当業務が多いがために器用貧乏になってしまうのです。

②営業資産にまつわる情報の属人化

営業活動の全ての対応を一人で行うため、情報を残す必要性が低くなりがちです。それぞれの担当者の頭の中に営業資産が蓄積されていれば事足りるからです。
しかし、このような属人化は営業パーソン依存なため、退職時などのリスクが非常に大きいです。引き継ぎ体制が整っていなければ事業の存続にも影響を及ぼしかねません。

また、決められた業務時間内にタスクを処理しなければならないため、緊急度と優先順位を鑑みて、すぐに処理しなければいけないタスクを取捨選択することが重要になってきます。こういった要素も担当難易度を上げてしまっています。
このように営業担当に任せっきりな一気通貫型営業は、属人化のリスクヘッジをしっかりする必要があります。

③非効率な教育、教育コストの負担

各営業パーソンの担当領域が非常に広い分、教育にかかる時間や研修費用などコストが高くついてしまいがちです。
自社商材の知識やプレゼンスキルだけでは不十分であり、リード・アポ獲得のための荷電スキルや定期的に情報提供するナーチャリング(ナーチャリング)、カスタマー対応など様々な業務を理解することが求められます。
そのため、新卒や営業未経験の社員は言わずもがな、ある程度の営業経験のある方だとしてもそれなりに教育コストはかかってしまいます。また、同時に様々な業務内容をインプットすることになるため、教育する側される側どちらの視点でも非効率です。

日本の少子高齢化に伴う深刻な人手不足も生じているため、いかに教育コストを抑えて即戦力として育て上げるかが重要となります。

営業プロセスを分業化するメリット

一気通貫型の営業活動は上手く活用できないとデメリットの方が目立ってしまいます。しかし、分業化へとシフトチェンジすることでこれらのデメリットをカバーし、生産性や業務効率を大幅に上げることが可能です。

分業化という考えの起源

そもそも分業化という考えは、経営学の祖フレデリック・テイラー近代経済学の始祖アダム・スミスが「どうしたら仕事を効率よく回せるか。生産物を増やすためにはどうすればいいのか」を考えた末に誕生しました。
彼らは「様々な産業で分業体制をとることによって、私達の経済は豊かになっていく」と指摘しました。

以下のサイトでわかりやすくまとめられています。
分業化が世の中に浸透するまでの背景が気になる方はご覧になってみてください。

【テイラーの科学的管理法とは】背景・内容・問題点をわかりやすく解説

◇「神の見えざる手」で有名なアダム・スミスをわかりやすく解説。

分業型のメリット

分業化することで、従来の営業プロセスならではの様々なデメリットをカバーすることができます。以下では、そのメリットについて解説します。

①業務効率化

営業プロセス分業最大のメリットは、各部門へ適材適所の人員配置ができるようになる点と、各部署の担当領域が狭くなることによる専門性の向上です。
一気通貫型の営業プロセスでは、どれだけ商談の打率が高い営業パーソンがいたとしても、新規開拓やナーチャリングといった作業も行わなければなりません。しかし、分業体制を取ることで各部署の担当領域を得意とする人員を配置することができ、商談が得意なメンバーはフィールドセールス部門、テレアポが得意なメンバーはインサイドセールス部門に配置する、といったことが可能になります。

また、業務プロセスを細かく分類するため、それぞれの部署は特定の領域に特化することになります。そのため、一気通貫型と比べ、各フェーズの専門性が向上するため「業務効率」だけではなく「業務の質」も高くすることが可能です。

②コスト削減

分業化は部署を増やすため、ツールなどの環境整備や教育コストが高くついてしまうように見えてしまいますが、見えないコストをカットすることができます。
前述の通り、一気通貫型営業では優秀なメンバーやベテランメンバーも、若手メンバーでもできる業務を担当しなければなりません。適材適所に配置すれば優秀な数字を出せる人材が、他業務で時間を割いてしまっている構造は費用対効果が非常に悪いです。それに加え、このような見えないコスト(各メンバーが担当する業務の費用対効果)は気づかないことも多く、改善が遅れてしまいがちです。
営業プロセスの分業化は、適材適所に人員を配置するため、これらのコストパフォーマンスの改善が見込めます。

教育コストについても同様です。そもそも領域ごとに得意とする人員を配置することが可能になるため、基礎的な能力が身に付いていることが多いです。
また、業務領域も狭くなるため、インプットのための期間も比較的短く済みます。

③属人化の回避

複数の部署で1つの企業を追いかける形になる分業型では、部門間の連携が非常に重要となってきます。特に情報の共有は一番重要とされており、全員が同一の情報を確認できる仕組みを作ることで、ターゲット企業へ適切なアプローチを行うことが可能になります。

また、情報資産を一箇所に貯めることで情報の属人化も同時に防ぐことができます。例え、特定の企業をメインで担当しているメンバーが急遽休んだり退職してしまったとしても、その企業の情報は全員が閲覧可能な場所に格納されているため、引き継ぎ作業がスムーズに行えます。
このように情報を全体で共有するということで、突然のトラブルへの対処も容易にできるようになります。

営業プロセスの分業化を失敗させないために必要なこと

営業の分業化を失敗させないためにはしっかりとした仕組みや環境、ルールの作成が必要となってきます。隣の部門との連携も意識しながら確認していきましょう。

インサイドセールスの導入

分業化で中核を担うのが、インサイドセールス部門です。この部門の立ち位置としては、リード獲得を行うマーケティング部門と商談対応を行うフィールドセールス部門の間です。つまり、マーケと営業の橋渡しをするポジションです。
インサイドセールスの主な役割は、リードの育成・商談の創出です。商談の創出といっても、テレアポのようにとにかくアポイントを取りに行くのではなく、受注に繋がる商談の創出です。そのためには、見込み客の購入意欲を上げる必要があり、定期的に電話やメールで社内の状況や課題をヒアリングしたり、資料送付などを通して興味関心度合いを高めていきます。

インサイドセールス部門が欠けていれば、マーケティング部門がリードの獲得〜育成、フィールドセールス部門がアポ獲得〜商談対応を行うことになり、分業化しているとは言えません。この場合、各部署の担当領域が広いため、業務の優先度の判断が難しく、業務の処理が遅れてしまう(業務の質が悪くなる)ことになります。結果、月末にかけて各部署がKPI達成のために顧客の育成を中途半端な状態で辞め、育成しきれていないリードへ闇雲にアポを取りにいく構造が出来上がってしまいます。
運用の知識がない状態で導入するのも同様です。パイプライン構築ができていなければ部門間の連携が曖昧になり、業務効率は導入前よりも下がってしまう、なんてことにもなります。
インサイドセールスを導入するのであれば、事前情報を集め必要な環境を整えましょう。

以下のコラムで、インサイドセールスについて詳しく解説してます。
【2022最新版】インサイドセールスとは?基礎知識やメリット・特徴・役割を解説します!

部門間で連携するために仕組み作り・ルール作り

分業型では部門間での連携は必要不可欠です。部署ごとにその領域を得意とする人材を配置することができていたとしても、部門間の連携が上手くいかなければ営業の分業化は失敗します。
以下のように情報の共有、連携を行う仕組みを作りましょう。

ツールの導入

部門間で情報共有を行う仕組みをつくることができたら、営業支援システム(SFA)や顧客関係管理ツール(CRM)を活用し、リード情報を全員が閲覧できるようにしましょう。前述の通り、情報資産の共有は属人化問題の解消や、部門間でカバーし合える環境を作ることを可能にします。
また、情報が蓄積されていくためボトルネックになっているフェーズの把握や対処法、勝ちパターンの発見なども期待できます。

リード獲得や育成などのサポートを行うMAツールも分業化との相性が非常に良いです。リードごとに適切なタイミングで適切なコンテンツの提供が可能なため、興味関心度合いを高めるのに適しています。

まとめ

情報化社会による営業活動の複雑化により、一気通貫型の営業活動では情報の管理が曖昧になったり、業務負担増加による非効率を生み出してしまいます。
一方、営業活動の分業化は、
初期費用はかかってしまいますが、結果的に業務効率の上昇や、将来的な業務コストの削減につながります。しかし、部門間での連携方法や仕組みづくりが整備されていないと高確率で失敗してしまうため、分業化の導入に関しては、焦らずにしっかりとした仕組みづくりをしたうえで実施することが良いでしょう。

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Written by...スマタイ編集部

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