インサイドセールス運用のメリット・デメリット〜行動ログと分析の恩恵〜

昨今、顧客の購買行動の変化や新たなビジネスモデルの広がりに伴い、インサイドセールスの注目度が急上昇しています。
インサイドセールスの導入では業務効率の向上はもちろん、他にも様々なメリットが期待されます。それと同時に想定されるデメリットがあるならば、事前に把握しておきたいですよね。本コラムでは、インサイドセールスのメリット・デメリットをご紹介します。

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インサイドセールスとは

インサイドセールスは営業活動を分業し、業務の効率化・最適化を実現させる営業手法です。
従来、一人の営業パーソンが行なっていた一連の業務を切り分け、インサイドセールスは主に電話・Eメール・DMなどを用いて見込み顧客と接触し、コミュニケーションを取ります。その後、見込み顧客の醸成や、検討状況を基に選別したうえでフィールドセールスにトスアップするのがインサイドセールスの役割です。
このような仕組みにより、フィールドセールスは確度の高い見込み顧客の対応にだけ集中でき、少ないリソースでの営業活動や効率的に成果を出していくことが可能となります。

インサイドセールスの基礎についてはこちら
【2022最新版】インサイドセールスとは?基礎知識やメリット・特徴・役割を解説します!

インサイドセールス導入のメリット

フィールドセールスが受注活動に集中して取り組むことが出来る

見込み顧客の認知や育成など、商談に至るまでの業務範囲をインサイドセールスが担うことで、フィールドセールスは提案やクロージングなどの受注活動に集中出来ます。結果的に商談数と商談精度の向上が期待出来ます。

受注確度の高い商談により、フィールドセールスの効率アップ

インサイドセールスは見込み顧客の検討状況をふまえてコミュニケーションを取ります。購買意欲が低い場合には、定期的な情報発信などによるナーチャリング(リードの醸成)活動を行ないます。
更に購買意欲の高まった見込み顧客に絞り込み、フィールドセールスが確度の高い見込み顧客を優先的に対応する環境を作り、全体の効率化に繋げることが出来ます。

インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担についてはこちら
インサイドセールスとフィールドセールス~それぞれの役割

業務の標準化により属人化を防止出来る

営業パーソンの経験から得たコツや勘を頼りに行なう営業手法では、業務の属人化やスキルにばらつきが生じてしまいます。
インサイドセールスを導入する場合、例えば「デモの依頼があった」「資料を〇個ダウンロードした」等、予め確度の高い見込み顧客や次回アクションを起こす基準を設定する為、業務が標準化されます。
これにより可視化された優先度を基にアプローチすることが出来、営業活動の属人化の防止と予防に繋がると考えられます。

営業管理が容易になる

フィールドセールスへ引き渡すというインサイドセールスの役割上、商談に必要な情報は非常に重要です。その為、電話やEメールで見込み顧客へアプローチした活動履歴や顧客データはつぶさに記録していきます。
このようなインサイドセールスの特性により、「過去にどんなやりとりをしたのか分からない」「同じ見込み顧客に同じ内容で二度もアプローチしてしまった」などの問題が解消されます。

一気通貫の売り上げ予測を立てられる

インサイドセールスはMA(Marketing Automation)ツール、CRM(Customer Relationship Management)、SFA(Sales Force Automation)、フィールドセールスはSFAへそれぞれの業務範囲で活動記録を残します。
これらを連携させると、営業業務全体をデータで把握することが可能です。つまり見込み顧客の認知から育成、受注に至る一連の過程を一気通貫で数値分析することが出来る為、このデータを活かせば半年~1年先の売上予測を月次で立てられます。

MAについて以下で解説しています
【今さら聞けない】マーケティングオートメーションの機能とは?

訪問営業のコスト削減につながる

従来の飛び込み営業や見込み顧客とのコミュニケーション目的の訪問営業では、ニーズや予算といった情報が手元にないため、そのまま受注まで持っていくことは至難の業でした。また、一度で商談や受注といった成果を得ることは難しいため、何度も訪問をする時間や移動にかかるコストが高くついてしまいがちです。
インサイドセールスを導入すると、フィールドセールスはニーズや予算といった条件を満たしている確度の高い見込み顧客に対して、ピンポイントな訪問活動が出来るようになります。結果的に移動や出張の経費、接待費などのコストを最小限に抑えられます。

インサイドセールスのデメリット

インサイドセールスの経験値とノウハウが必要

営業活動を分業化しても、これまでの営業パーソンの受注に至るコツや経験値は引き続き活かすことが出来ます。但し、インサイドセールスの導入にはこれまでの営業手法と全く異なる知識やノウハウが必要です。
特に初めのステップである基準の設定や見込み顧客の育成段階などの設計に関しては、経験値からくるノウハウを活用しないことには、インサイドセールスならではの業務構築は難しいでしょう。

情報共有のための仕組みづくりが必須

これまで営業パーソンが一人で行なっていた業務を分業することで、これまで以上に部門間の協働が肝心となります。ところが、部門間の情報連携には徹底した仕組み作りが必要となる為、多くの企業が苦戦するポイントです。
最初にリードを受け持つマーケティング部門とインサイドセールスの密な連携はもちろん、インサイドセールスとフィールドセールスは同じ見込み顧客を担当し、接点を持つケースも多くある為、お互いの情報共有が必要です。
情報共有の出来る仕組み作りを行なわなければ、それぞれの部門が持つ顧客情報や顧客からのフィードバックがブラックボックス化してしまい、分業化の罠に陥ってしまうでしょう。

営業活動の分業を失敗させない方法についてはこちら
営業プロセスを分業した方が良い理由とは?

リードの数が増えるとシステム導入も必要

インサイドセールスが対応する見込み顧客のボリュームが増えてきたら、システムの導入を検討する必要があります。
例えば、「自社のWebサイトのアクセスや過去のデータを分析出来る」「見込み顧客の優先度を可視化出来る」といったような、見込み顧客の発掘やアプローチに役立つシステムの活用が考えられます。また、顧客データを入力する作業一つをとっても、インサイドセールスならではの情報蓄積がしやすく工夫されたシステムがお勧めです。
仮に、システムを導入せずに顧客データやリードの管理・分析を行なう場合、インサイドセールス業務に大幅な負荷がかかります。また、その割には正確な結果を得られない可能性も考えられます。

インサイドセールス導入による行動ログと分析の恩恵

ここまでインサイドセールスのメリット・デメリットについて紹介をしてきました。
ここからは、インサイドセールス導入の中でも特に大きなメリットである「営業活動のログを残せること」「残したログから数値分析が行えること」について、先程のメリット・デメリットを踏まえた上で解説をしていきます。

「行動ログ」と「受注金額」の方程式をつくる契機になる

見込み顧客の認知から案件化までの醸成段階のログである「MAツールの記録」と、訪問営業のログである「SFAの記録」の二つの行動ログを連携させれば、受注に至る一連の過程を一気通貫で数値分析することが出来ます。これにより半年~1年先の売上予測を月次で行うことが出来、先手で施策を打つことが可能となります。

例えばこのサンプルでは、電話を500件かけ、結果的に5件の受注に繋がっています。このようにインサイドセールスの導入で、行動ログから簡単に受注金額の方程式を作ることが出来るようになります。
また、多くの企業では訪問後のデータをSFAに入力しているケースが多く、組織として体系的に数値管理されていないことも多くあります。そこでポイントとなるのが、インサイドセールス導入+MAツールとSFAの連携です。
まず、「リード獲得→商談機会獲得→アポ獲得&初回訪問」までの領域のログ取りと分析は、マーケティングとインサイドセールスの連携によって効率化します。そこへMAツールを導入すれば、さらに効果的に実施出来ます。
そしてSFAに記録されたフィールドセールスの訪問記録がMAツールと連携出来れば、一気通貫での数値管理と分析が可能になります。

行動ログと受注金額の方程式「ファネルと数値分析」

行動ログと受注金額の方程式は、ファネルと数値分析によって作り出すことが出来ます。「ファネル分析」は消費者行動をフェーズごとに分析し、どこに穴があるかを見極め、マーケティング活動を見直す手法です。
企業や商材によって受注に至るプロセスは異なりますが、インサイドセールスの導入により、営業活動はインバウンド・アウトバウンドのそれぞれで下図のようなファネル(逆三角形のフロー図)が出来ます。

MAツールを活用するとリードの行動ログが管理出来ます。例えば、配信したメルマガの開封/未開封やサイトへの流入状況、リードが自社のサイト内をいつ閲覧してどのページをどのくらい見ていたかなどの個人トラッキング情報を、追跡・分析することが可能です。
このようなMAツールを活用して得た行動ログとインサイドセールスでのフォローコールや会話履歴などの情報を蓄積し、リードの行動を把握することにより、インサイドセールスの領域が効率的かつ体系的に分析できます。

それぞれの行動ログに対して点数を付け、スコアリングをしていきます。簡単なイメージとして、「サイト閲覧で10点、サービスページへの遷移で10点、資料ダウンロードで10点、30点を超えると次のフェーズへ」といった考え方です。ここから、フェーズが上がる確率と各施策ごとの数値ログを取ることが出来る為、各フェーズにおける予測受注数と予測受注金額を割り出すことが可能です。

③④フェーズ5の「興味関心あり」の段階においては、500件分の企業から受注出来た場合、パイプライン金額は40億円と予測することが出来ます。

各セグメントに入っている各企業のデータベース登録イメージ

インサイドセールスの活動にあたり、企業の専用データベースを構築します。
例えば、「企業内の担当者情報 」「企業の導入検討に関する情報」「既存のサービス利用情報」「フェーズ・スコア」などの項目を登録していきます。下図は、各企業のデータベース登録イメージの例です。

 詳細情報

●●(株)
東京都千代田区丸の内
03-1234-5678
1月15日(月)15時~
担当者 情報システム部 内山 雄輝 男性
男性30代~40代 温和な感じ
※青木にて架電
情報システム室の●●様に、ご対応いただきました。
BI製品のトークを行い、ご興味いただきましてアポイントに至っております。
アポント日は、上記住所・担当者様で確認できております。

現在、特定の製品を使っており、ここ1年ほどで、リプレイスを検討していくお考えとのこと。
ご予算も良いものであれば次の予算検討時期に申請したいとの考えです。

 詳細情報2 【会話フェーズ】アポイントOK
【個人】所属部署 情報システム部 【個人】所属部署電話番号 03-1234-5678
【個人】役職 部長 【個人】会社内での役割 稟議起案者(決裁者に提案する方など)
【個人】担当者名 内山 雄輝 【個人】担当者名ふりがな うちやま ゆうき
【個人】Emailアドレス uchiyama@test.co.jp 【個人】情報送付の許可(追メールOK) メールアドレスへの情報送付OK
【検討】予算金額 3,000,000円 【検討】予算有無 予算がある(金額入力!)
【検討】検討時期 2022/11/31 【検討】検討理由 現在利用あり。リプレイス検討。
【検討】現在の課題(情報収集理由) 業務効率化 【検討】現在の課題(フリーテキスト) 現状の社内データをもっと有効活用するための方法を検索したい
【状況】現在の利用サービス **社の** 【状況】利用サービスの契約更新時期 1年ごとの更新
【状況】利用サービスの利用金額 年間50万円程度 【状況】最終情報取得日 2021/04/25

フィールドセールスはこのデータベースから商談に必要な情報を入手することが出来る為、案件確度を把握した上での事前準備が可能となります。更に情報を基に仮説を立てて商談に臨めば、初回商談が情報収集の時間で終わる事なく、中身の濃いものとなるでしょう。
また、見込み顧客が検討時期が今すぐではない場合、事前に検討時期に関する情報があることで次回アクションを起こすタイミングを設定出来ます。つまり、データベースとして蓄積された情報は、中長期的に育成が必要な見込み顧客とのコミュニケーションにも活用することが出来、営業活動の最適化が見込まれます。

「行動ログと受注金額の方程式」はインサイドセールスの導入で簡単に作成可能

行動ログと受注金額の方程式は、インサイドセールスの導入により大枠は比較的容易に設計出来ます。インサイドセールスとフィールドセールスがログさえ残していればすぐに作ることが出来、Excelでも作成可能です。
但し、下記のようなケースでは、インサイドセールスに加えてMAツールやCRMなどのITツールを導入すると有効的です。

  • ・管理すべきリードの数が多い(月300以上など)
    ・商流が複雑で、さらに一人一人の動きのトラッキングをする必要がある
    ・営業担当者の業務が膨大でログ管理に時間が割けない

インサイドセールス導入によって「行動」を切り分け、ログに残すことで「方程式」を作ることが出来ます。そこから仮説検証出来ることが、インサイドセールスの最大のメリットといえます。

まとめ

メリット
・「行動ログと受注金額の方程式」を簡単に作成可能
・フィールドセールスが受注活動に集中して取り組むことが出来る
・受注確度の高い商談により、フィールドセールスの効率アップ
・業務の標準化により属人化を防止出来る
・営業管理が容易になる
・一気通貫の売り上げ予測を立てられる
・訪問営業のコスト減につながる

デメリット
・インサイドセールスの経験値とノウハウが必要
・インサイドセールスに関する教育コスト
・情報共有が欠かせない
・リードの数が増えるとシステム導入も必要

いかがでしたか?
業務の効率化・最適化を実現させるインサイドセールスの導入を検討される企業は、今後も増加傾向にあると予想されます。検討の際には事前にデメリットも把握し、上手く克服出来る体制や先手を打った仕組み作りを意識することで、インサイドセールスを成功に繋げていきましょう。

スマタイロゴ

Written by...スマタイ編集部

スマタイの記事を制作している編集部です。
不定期でマーケティング、インサイドセールス、営業支援に関する最新の情報を発信していきます。

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